旅番組リポーター「本日は魔王城にやって来ました!」

1 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:04:03
リポーター「撮影用の魔具を飛ばして、と……」

リポーター「さあ、始まりました! 旅番組≪秘境にいこう≫!」

リポーター「本日の≪秘境にいこう≫はなんと――」

リポーター「魔王城にやって来ましたー!」

リポーター「案内役をして下さるのは、魔王さんの側近であるこの方です!」

側近「どうも」

リポーター「本日は人間代表としてたっぷり取材させて頂きます。よろしくお願いします!」

側近「こちらこそよろしくお願いします」

2 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:07:10
リポーター「このたびは打倒勇者、おめでとうございます!」

側近「ありがとうございます」

リポーター「結局、勇者は魔王城にたどり着くこともできなかったわけですが……」

リポーター「今のお気持ちはいかがですか?」

側近「これでやっとひと安心といったところですね」

側近「しかし、仮にたどり着けたとしても、勇者が魔王様に会うことはできなかったでしょうね」

リポーター「おおっ!」

側近「今回はそういったセキュリティ面も、差し支えない範囲でしっかりご説明したいと思います」

3 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:08:39
ポツンと一軒城
4 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:10:13
リポーター「あちらにおられるのは……?」

側近「門番です」

リポーター「門番さんですか、どうもこんにちはー!」

門番「こんにちは」

リポーター「魔王城の門を任されるだけあって、とても強そうですねー。ムッキムキです」

門番「ハハ、ありがとうございます」ムキッ

リポーター「おっ、ポージングをいただきました!」

6 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:13:04
リポーター「門番のお仕事というのは、やはり大変ですか?」

門番「大変ですね」

門番「24時間寝ずに番をしなければなりませんし、いつ敵が襲ってくるかという緊張感もあります」

リポーター「そうですよねー。気の休まる時がなさそうです」

門番「しかし……だからこそ非常にやりがいのある仕事だと感じています」

リポーター「これからもお仕事頑張って下さい!」

側近「それでは城内へご案内します」

7 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:16:29
側近「扉を開きます」ギィィ…

リポーター「わっ、広い!」

リポーター「想像通り、おどろおどろしい内装ですね」

側近「我々魔族はこういう装飾を好みますので」

リポーター「しかし、たとえばあの絵画など、非常に高い芸術性を感じます」

側近「魔王様のご趣味で、魔界の芸術品を広く取り揃えてあるのです」

リポーター「まるで一流の美術館にいるようですよ」

9 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:19:50
側近「ここからは気をつけて下さい」

リポーター「え?」

側近「罠がたっぷりありますから」

リポーター「えっ……」

側近「たとえば、あそこの通路」

側近「魔族以外の者が通ると、刃が落ちてきて体を切断されます」

リポーター「ひええ、恐ろしい……」

10 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:23:24
グツグツ… ボコボコ…

リポーター「ここは……」

側近「溶岩地帯です」

リポーター「暑い……。これは……落ちたら助かりませんね」

側近「たしか勇者も火山に落下したと聞いています」

リポーター「ええ、魔物の大群に追い詰められて……」

側近「ここは足場が崩れやすく設計されてるので、勇者が火山に落ちなくてもここで落ちた可能性が高いですね」

リポーター「正しい場所を踏まないと、真っ逆さまというわけですか」

11 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:23:54
ふむ
12 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:26:15
側近「こちらでは侵入者を感知すると、壁が押し潰してきます」

側近「ちょっとやってみましょうか」サッ

ウイイイイイイン…

ズンッ!

リポーター「おお〜、すごい仕掛けですね!」

側近「これに押し潰されたら、鋼鉄のゴーレムですら鉄板になってしまいますよ」

リポーター「その圧力を利用して、製品を作ることもできそうですね」

側近「なかなか面白いアイディアですね。魔王様に提案してみましょう」

13 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:27:25
城守ってる魔物も大変だろうな
14 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:29:06
側近「ここからは迷宮地帯です」

側近「ものすごく複雑な上、少しでもルートを外れると罠が待ってますので、ちゃんとついてきて下さい」

リポーター「は、はい」

スタスタ… スタスタ…

スタスタ… スタスタ…

スタスタ… スタスタ…

側近「もうすぐ出口です」

リポーター「ただ歩いてただけなのに、脂汗まみれですよ」

側近「ここからは比較的安全なエリアですので、リラックスなさって下さい」

15 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:32:55
側近「こちらは食堂になります」

リポーター「骸骨が置かれたテーブルがオシャレですね〜」

リポーター「今回料理を振る舞って下さるのは、魔界一の料理人といわれるこの方です!」

魔族シェフ「こんにちは」

リポーター「本日はご馳走になります」

側近「さあ、こちらの席にどうぞ」

16 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:35:33
魔族シェフ「本日のメインは、魔界牛のソテーになります」

リポーター「いただきます」モグッ

リポーター「あ、おいしい……! これはうまぁい! 口の中でお肉がとろけます!」

魔族シェフ「人間の味覚に合うよう、アレンジさせて頂きました」

リポーター「ソースがまた濃厚で……いくらでも食べられちゃいます」モグモグ

魔族シェフ「ありがとうございます」

17 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:36:54
うまそう
18 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:39:24
モグモグ…

リポーター「側近さんは、いつ頃から側近をやられているのですか?」

側近「ざっと千年前ですね」

リポーター「千年!」

側近「といっても、魔族というのは全て魔王様によって生み出された存在ですから」

側近「人間たちから見ると、私は魔王様の長男という言い方がしっくりくるかもしれません」

リポーター「なるほどー!」

19 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:42:19
リポーター「大変おいしかったです。ごちそうさまでした」

側近「では最後に、魔王様に会って頂きましょう」

リポーター「えっ、よろしいんですか!?」

側近「ええ、魔王様もぜひ取材を受けたいと」

リポーター「ありがとうございます!」

側近「こちらへどうぞ」

リポーター「はいっ! 私、ものすごい胸の高鳴りを感じております!」

リポーター「この後、本邦初公開、魔王さんとご対面します!」

20 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:46:11
魔王「よく来た」

リポーター「はじめまして、旅番組≪秘境にいこう≫です」

リポーター「本日はよろしくお願いします」

魔王「うむ。側近よ、お前は下がれ」

側近「はっ!」

リポーター「いやぁー、やはり魔族の長となると、威厳がものすごいですね」

リポーター「こうして向かい合ってるだけで凍りつくようです」

魔王「ふふ……そう恐れるでない。楽にせよ」

リポーター「は、はいっ! ではいくつか質問させて頂きます!」

21 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:49:07
リポーター「魔王さんは魔族の中で最もお強いのですか?」

魔王「そうだ」

魔王「……と言いたいところだが、ワシの実力は側近や他の幹部とそう変わらん」

リポーター「そうなんですか!」

リポーター「ということは、カリスマ性で魔族を統治されているということでしょうか?」

魔王「むろん、それもあるのだが……」

22 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:52:31
魔王「実はな……」

リポーター「はい」

魔王「ワシが死ねば、全ての魔族は滅ぶのだ」

リポーター「ほう……!」

魔王「魔族というのは元々はワシが生み出したものであるからな」

リポーター「ああ……側近さんもおっしゃってましたね」

リポーター「だから、あまり前線には出ず、魔王城で暮らしておられるわけですか」

魔王「そういうことだ」

23 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:55:26
リポーター「これはいいことを聞きました」

魔王「ふふ……驚いたであろう」

リポーター「こんな格好して、リポーターに扮したかいがあった……」

魔王「?」

ズバァッ!

魔王「ぐ、ぐおっ……!」ガクッ

リポーター「流石の魔王も、不意を突かれちゃ脆いもんだな」

魔王「き、貴様……ッ! この剣さばき……ま、まさか……!?」

リポーター「ああ、俺は勇者だよ」

24 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:58:31
リポーター「冒険の途中で魔族との戦いに限界を感じた俺は、あえて火山に落ちて死を演じた」

リポーター「そして、人間の全面降伏を見届けた後、旅番組リポーターになりすまして取材を申し込んだ」

リポーター「“魔王さえ倒せば”という一縷の望みに賭けてな」

リポーター「案の定、勝利ムードに酔いしれたお前らは、負け犬丸出しで低姿勢な俺をここまで迎え入れてくれた」

魔王「ぐ、ぐう……ッ!」

リポーター「お前を殺せば魔族は全滅するんだろ? この戦い、どうやら人間側の逆転勝利で終わりそうだな」

魔王「こんな……こんなやり方で、ワシを狙うとは……なにが勇者だ……! 恥を知れ、恥を!」

リポーター「……」

25 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:01:08
リポーター「冥土の土産に、この番組の裏に秘められた真のタイトルを教えてやろう」

リポーター「≪卑怯にいこう≫だ」チャキッ

ザンッ!

― 完 ―

26 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:02:52
シャレ言いたかっただけかよ!
27 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:03:21
やめなシャレ
28 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:04:31

なるほどそういうオチか

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