女薬剤師「ちょっとー、お薬手帳はどうしたのよ!」男「忘れたんだからしょーがねーだろ!」

1 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:11:12
男「ほい、処方箋」

女薬剤師「お薬手帳は?」

男「あれ? ないや」

女薬剤師「ちょっとー、お薬手帳はどうしたのよ!」

男「忘れちゃって……」

女薬剤師「なにやってんのよ、このドジ!」

男「忘れちまったんだからしょーがねーだろ!」

女薬剤師「フン!」プイッ

男「フン!」プイッ

3 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:15:04
……

女薬剤師「今日はお薬手帳は?」

男「あ……また忘れた」

女薬剤師「なんで忘れるのよー!」

男「ついうっかりしてたんだよ!」

女薬剤師「うっかりがすぎんのよ! これで何度目よ!」

男「うっせーな! だいたいあんな手帳がなんの役に立つんだよ!」

女薬剤師「なんですってー!」

ギャーギャー!

老人「これこれ、ケンカはよしなさい、二人とも」

女薬剤師「あ……」

男「薬剤師の爺さん……」

4 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:18:19
老人「お薬手帳は、とても大切なものなんじゃよ」

男「どうして?」

老人「薬には同時に飲んではいけない組み合わせというもんがある」

老人「お薬手帳があれば、そういう危ない組み合わせで処方してしまうのを防げる」

老人「それに、災害時などの緊急時に薬がどうしても欲しい時」

老人「お薬手帳があれば、その情報を正確に伝えることができる」

老人「自分が飲んでる薬の名前・分量をいちいち記憶してる人なんてそうはおらんじゃろからな」

男「なるほど……」

7 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:19:25
たし蟹
9 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:19:29
持病あるやつは大事だよな
10 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:21:35
老人「つまりじゃな、この子がこれだけ口を酸っぱくしてお薬手帳についていうのは」

老人「それだけあんたのことを心配してるからなんじゃよ」

男「え……」

女薬剤師「ち、ちがっ……! そんなことありませんってば!」

男「……」カァァ…

女薬剤師「……」カァァ…

老人「若いというのはええのう〜! ほっほっほ……」

14 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:24:34
……

男「ほい、処方箋」

女薬剤師「じゃあ、席に座って待ってて」

男「それと……お薬手帳」

女薬剤師「今日は……忘れなかったんだ」

男「まぁな」

女薬剤師「偉いじゃない」

男「ありがとよ」

15 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:27:14
男「だけど勘違いすんなよな!」

男「別にお前に言われたからーとかじゃなくて、あくまで俺のためだ!」

女薬剤師「なによそれ! せっかく褒めてやったのに!」

男「お前なんかに褒められても嬉しくないっての!」

女薬剤師「んもう、口が減らないんだから!」

男「フン!」プイッ

女薬剤師「フン!」プイッ

17 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:30:08
ある日――

女薬剤師「いらっしゃいませー」

中年男「……」

女薬剤師「お薬手帳はございますか?」

中年男「……」ピクッ

男(俺の時と全然態度違うじゃねえか、あの猫かぶり女め)

18 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:33:21
中年男「ねえよ」

女薬剤師「そうですか。では次回は必ず……」

中年男「いつもいつも手帳手帳うっせーんだよ!」

中年男「マニュアルにあるからそういってんのか? あぁん?」

女薬剤師「いえ、必要なことですので……」

中年男「俺には必要ねーんだよ! 余計なやり取りなんかせずとっとと薬出せばいいんだよ! こっちは忙しいんだ!」

女薬剤師「……!」

男「やめときな」

19 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:35:31
中年男「なんだお前……」

男「お薬手帳があれば、危険な飲み合わせを防げるし、緊急時にも役に立つんだよ」

男「つまり、そいつはあんたを心配して、お薬手帳の確認をしてるんだ」

男「そういう心を理解しようともせず、怒鳴り散らすってのはいい大人としてどうなんだ?」

中年男「くっ……すまなかったな、姉ちゃん」

女薬剤師「いえ……」

21 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:38:24
女薬剤師「はい、お薬」

男「どうも」

女薬剤師「あ、あと……」

男「?」

女薬剤師「さっきは……ありがと」ボソッ

男「よ、よせやい! あそこで揉められても、俺までとばっちり来ると思ったから……」アタフタ

22 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:41:33
―会社―

男「お呼びでしょうか」

上司「今度、ウチの社も医薬業界に向けた商品を出そうということになってね」

男「はぁ」

上司「なにか……月末までに企画の一つも出してもらえんか」

男「分かりました……自信はありませんが、やってみます」

23 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:43:49
―薬局―

女薬剤師「お、今日もちゃんとお薬手帳を持ってきたわね」

男「まぁな」

男「ところで……折り入って相談があるんだが」

女薬剤師「なによ。あらたまっちゃって」

男「俺が勤めてる会社でさ……」

26 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:46:07
老人「……ん?」

女薬剤師「こういうのはどう?」

男「うん、悪くないな!」

女薬剤師「でしょ!」

キャッキャッ

老人(ほっほっほ、ワシは退散するかのう)

27 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:49:10
―会社―

男「課長、できました」

上司「ほう」

男「これが企画書となります」

男「私が企画する新商品の名はずばり……」

≪お薬手帳忘れさせないマシン≫

上司「おおっ……!」

28 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:52:11
男「……お薬手帳を忘れて外に出ようとすると」

マシン「ワスレルナー、ワスレルナー」

男「と、すかさず呼びかけてくれるのです」

男「このマシンが普及すれば、日本の医療事情は著しく改善されること間違いなしです!」

オオッ…

「素晴らしい……」

「なんて画期的な発明だ!」

「これはヒットするぞ! すぐ商品化しよう!」

32 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:55:21
≪お薬手帳忘れさせないマシン≫は大ヒット!

ワイワイ…

店員A「押さないで下さい! 押さないで下さい!」

店員B「行列の最後尾はこちらとなっております!」

店員C「整理券の配布はすでに終了しておりまーす!」

ガヤガヤ…

33 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします18:58:09
―薬局―

女薬剤師「いらっしゃい」

男「よう」

女薬剤師「例のマシン、大ヒットしてるみたいね」

男「ああ、会社でもちょっとしたヒーロー扱いだ。これもお前のおかげだ。ありがとう」

女薬剤師「バカね……私はアイディアのとっかかりを出しただけ」

女薬剤師「商品化まで頑張ったのはあんたじゃない」

男「そのとっかかりを出すってのが一番大変なんだよ、こういうのは」

34 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:01:00
女薬剤師「それで? 今日はちゃんとお薬手帳持ってきたの?」

男「もちろんだとも」

男「企画しといてなんだけど、俺にはあのマシンはいらないな」

男「なんたって、マシンより怖い女がいるからさ」

女薬剤師「なんですってー!」

アハハハハ… アハハハハ…

35 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:05:06
……

女薬剤師「いらっしゃ……」

男「……」

女薬剤師「なんだ、あんたか。今日はどうしたの?」

男「……」

男「実はさ、俺の主治医さんが、だいぶ数値よくなってきたからもう薬は出さないって」

女薬剤師「そう……なんだ」

男「……」

女薬剤師「……」

女薬剤師「よかったじゃない! 健康になって! 元気出しなさいよ!」

男「そ、そうだよな。いいことだもんな! 元気出さなきゃな!」

36 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:07:06
男「じゃ、じゃあな……」

女薬剤師「うん……」

男「……」

女薬剤師「……」

老人(ふむ……)

37 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:10:10
―会社―

上司「どうだろうか」

上司「そろそろまた新しい企画を考えてくれないかね? 上の連中も君に期待してるんだ」

男「……」

上司「たとえば≪お薬手帳忘れさせないマシン2≫とか……」

男「お薬手帳……」

39 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:13:22
男「すみませんが……」

男「今はもう、お薬手帳のことなんか考えたくもないんです」

上司「ええっ!?」

上司「じゃ、じゃあ……一つ飛ばして≪お薬手帳忘れさせないマシン3≫はどうだろう!?」

男「……」

上司「≪お薬手帳忘れさせないマシン4≫……!」

男「失礼します」スタスタ

上司(どうしたというんだ……)

41 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:16:30
ザァァァァ…

男(今日は……雨か)

男(体は健康なのに……薬のおかげで健康になったのに……もう薬は飲まなくていいのに……)

男(なのに……)

男(どうして俺の心は土砂降りなんだ……!)

42 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:20:19
ザァァァァァ…

男「……」ビショ…

老人「こんな雨の中、傘もささずにどうしたのかね。風邪をひいてしまうぞ」

男「あ、あなたは……」

老人「どうなさった」

男「俺は……どうしてしまったんでしょう」

男「健康なはずなのに、もう薬はいらないのに、こんなに苦しいんです!」

老人「君はもうその答えを知ってるんじゃないかね?」

男「!」

老人「君に必要なのは、ほんの少しの勇気だけじゃ」

44 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:22:24
老人「ワシのような年寄りにできるのは、背中を押すことだけ……あとは君次第じゃ」

男「……」

老人「行きなさい」

男「はいっ!」

バシャバシャバシャ…

…………

……

45 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:25:15
―薬局―

女薬剤師「……」

ガラッ

男「よう」

女薬剤師「あ、あんたは! どうしたの、そんなびしょ濡れで!」

男「お薬手帳を持ってきたんだ」

女薬剤師「お薬手帳? あんた、今薬は飲んでないはず……」

47 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:28:20
男「胸が苦しいんだ」

女薬剤師「え……?」

男「体は健康なのに、お前に会える理由がなくなったというだけで、胸が苦しくて仕方ないんだ」

女薬剤師「……!」

男「だから、お前に治して欲しくてお薬手帳を持ってきた」

男「ここに、俺に一番効く薬を記入してくれぇ!」

女薬剤師「……分かったわ」

49 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:32:05
女薬剤師「お待たせ」

男「……」

『私』

女薬剤師「……どう?」

男「最高の薬をありがとう」

男「好きだっ!!!」

女薬剤師「私も!」

ギュッ…

51 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:34:12
男「最高の薬を手に入れたんだ」

男「これからは体に気をつけて、なるべく薬を飲まなくていいようにしないとな」

女薬剤師「うん、私もそうする」

老人「なあに、おぬしらなら大丈夫じゃろ」

女薬剤師「……え?」

男「どうしてです?」

53 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします19:37:19
老人「だって告白にお薬手帳を使うようなバカップルに、つける薬はないじゃろうて!」

男「……」ポッ

女薬剤師「……」ポッ

老人「若いというのはええのう〜! ほっほっほ……」

―おわり―

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