老人「文明が崩壊した地球(ほし)で……ワシはひたすら旅を続ける」

1 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:25:05
荒野を歩く一人の老人――

老人「……」ザッザッ

老人「……」ザッザッ

老人「……」ザッザッ

老いを感じさせない足取りで、老人は歩き続ける。ひたすらに……

2 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:29:32
かつて、この惑星――地球を前代未聞の超巨大地震が襲った。

ゴゴゴゴゴ… グラグラグラ… ドドドドドド…

「きゃあああああっ!」

「うわぁぁぁっ……!」

「助けてくれーっ!」

世界中を巻き込んだ大災害は、何もかもを破壊した。

人類が永い時間をかけて築き上げた文明は、一瞬で崩壊してしまった。

3 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:32:27
しかし、人類は滅びてはいなかった。

ほんのわずかに生き残った人々は、手を取り合い、少しずつ少しずつ……

「家が建ったぞ!」

「おーっ、やったーっ!」

「水汲んできたぞー!」

人間らしい生活を取り戻していったのだ。

6 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:35:06
そして、現在――

人々はかつての文明を取り戻したというには程遠いものの、

各地にそれぞれの集落を形成しつつ、超巨大地震後の新時代を生き抜いているのである……。

老人「……」ザッザッザッ

8 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:39:26
老人「……」ザッザッザッ

老人(この近くには集落があるようだ……)

老人(しばらくはそこを拠点に……“捜す”としようか)

チンピラ「なんだ、あのジジイ? きったねえナリでここらへんうろちょろしやがって……」

9 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:42:36
チンピラ「おい、ジジイ!」

老人「ふぉ?」

チンピラ「ここらは俺のナワバリなんだ。通るんなら、何か食い物の一つでもよこしな!」

老人「食い物なんか持っとらん」

チンピラ「あ? だったらここを通すわけには……」

老人「……」

チンピラ「……!」

チンピラ(なんだこのジジイ……なんつう目をしてやがるんだよ……!)

10 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:45:13
仲間「おい、やめとけ!」

チンピラ「なんでだよ!?」

老人「……」ザッザッザッ…

チンピラ「なんなんだ、あのジジイは……」

仲間「聞いた話じゃ、あのジジイ、軽く数百年は生きてるらしいぜ」

チンピラ「す、数百年!?」

仲間「かつて文明が栄えてた頃から生きてて、それからずっと世界をさまよってるなんて噂もある」

チンピラ「なんだそりゃ……バケモノじゃねえか」

仲間「とにかく、あんなのには近づかない方がいい」

仲間「どんな呪いや病気持ってるか分かんねえし、ろくなことにならないぜ」

12 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:47:32
ワイワイ… ガヤガヤ…

老人「ふむ……」

老人「しばらくはこの集落で過ごすか……」

14 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:50:38
老人「……」

集落民A「あの爺さん、ここに来てからずっと飲まず食わずだぜ? どうなってんだ」

集落民B「時折、近くの瓦礫やゴミを漁ってるのを見かけるが、なにか食ってる様子はねえしな」

集落民A「やっぱり不死身だっつう噂は本当なのか……」

集落民B「かもな。いずれにせよ、関わることはねえ。触らぬ神になんとやらさ」

15 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:53:16
老人「……」

少女「……」スタスタ

老人「……ん? なんだいお嬢ちゃん」

少女「これ……」

老人「これは……スープかな?」

少女「……」コクッ

18 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:55:41
少女「これ……ガレキドリのスープ。この集落の人たち、みんな飲んでるの」

少女「おじいさん、なにも食べてないんでしょ? よかったら……どうぞ」

老人「……」

老人「ありがたく頂くとするかのう」

少女「……」パァッ

22 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします01:58:49
老人「……」ゴクッ

少女「どう?」

老人「ありがとう……おいしいよ」ニコッ

少女「……よかった!」

少女「じゃあ、またね、おじいさん!」

老人「ああ……」

23 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします02:01:41
しばらくして、老人は集落を発とうと準備をしていた。

老人(どうやら……ここに求めるものはなかった。また別の地に移るとしよう)

少女「おじいさん!」

老人「……ん?」

少女「もう……行っちゃうの?」

老人「ああ、もう行っちゃうんだ」

少女「そうなんだ……」

24 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします02:04:04
少女「だったら最後に、少しだけお話してくれない?」

老人「……いいとも」

老人「スープのお礼をしなくちゃいけないもんな」

少女「……!」パァッ

老人と少女は座り込んで、話を始めた。

25 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします02:06:40
少女「おじいさんは、かつてこの星に文明があった頃から生きてるの?」

老人「その通り」

少女「どんな世界だったの?」

老人「今よりずっと人口が多く、食べ物は豊富で、暑さも寒さも機械で克服し」

老人「テレビという装置で、楽しいお話を見ることができ」

老人「自動車や飛行機で、遠くにもすぐ行くことができ」

老人「分からないことがあってもすぐ調べることができた」

少女「へえ、じゃあみんな今よりずっと幸せだったんだ!」

老人「そうとも限らないのが、人間の難しいところなんじゃよ」

少女「ふうん……」

26 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします02:10:10
少女「おじいさんは……どうして旅をしてるの?」

老人「探し物をしておるのじゃよ」

少女「それは……人?」

老人「そうじゃな、人でもあるのう」

少女「それは……絵?」

老人「そうじゃな、絵でもあるのう」

少女「それは……機械?」

老人「そうじゃな、機械でもあるのう」

少女「それは……思い出?」

老人「思い出……そうじゃな、それが一番近いかもしれんのう」

老人「思い出を見つけ出すまでは……ワシは死ぬわけにはいかんのじゃ」

老人「その執念が、ワシを生き長らえさせておるんじゃよ」

27 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします02:13:00
少女「見つかるといいね!」

老人「ありがとう」

少女「じゃーねー! 元気でねー!」

老人「おーう」

老人「……」ザッザッザッ

老人(見つけるまで……死ねない)

29 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします02:15:13
老人(あの巨大地震で埋もれてどっか行ったオレのパソコンのHDD……)

老人(もしも万が一まだ機能が死んでなくて、いつか誰かに中の画像を見られでもしたら……)

老人(あれを捜し出して、この手でブッ壊すまで、オレは死ぬわけにはいかねんだぁぁぁぁぁ!!!)

― END ―

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